発達障害による癇癪の原因とは?親ができる対応策と予防法を解説|まきこどもクリニック|大阪府池田市の小児科・アレルギー科

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発達障害による癇癪の原因とは?親ができる対応策と予防法を解説

発達障害による癇癪の原因とは?親ができる対応策と予防法を解説

発達障害のある子どもの癇癪には、感覚の特性やコミュニケーションの難しさ、予定変更への不安など、さまざまな背景が関係しています。
激しく泣いたり怒ったりする行動だけを止めようとするのではなく、その原因を理解して環境や関わり方を工夫することが大切です。
この記事では、発達障害による癇癪の主な原因やわがままとの違い、起きたときの対応策、家庭で取り入れられる予防法を解説します。

発達障害の癇癪が起こる主な原因3選

発達障害があるからといって、必ず癇癪が起こるわけではありません。
一方で、感覚過敏や気持ちを言葉にする難しさ、見通しの立たない状況への不安など、その子が持つ特性と周囲の環境が合わないことで負担が大きくなり、癇癪につながる場合があります。
まずは代表的な3つの原因を紹介します。

発達障害の癇癪 早見表

よくある場面から考える「原因」と「対応」の目安

発達障害のある子どもの癇癪には、感覚の負担や予定変更への不安、気持ちを言葉にしにくいことなどが関係している場合があります。行動だけを止めようとせず、直前の状況や本人の困りごとを確認することが大切です。

よくある様子・場面 考えられる背景 家庭でできる対応例
音・光が苦手
人混みや大きな音のある場所で泣く・怒る
音や光などを強く感じる感覚過敏によって、本人の負担が大きくなっている可能性があります。 静かな場所へ移動する、人混みを避ける、必要に応じてイヤーマフなどを活用し、刺激を減らして落ち着ける環境を整えます。
予定変更が苦手
外出中止や予定変更を伝えると強く怒る
予定が突然変わったことで見通しを持てず、不安や混乱が強くなっていることがあります。 変更はできるだけ早めに伝え、「今日は公園ではなく家で遊ぶ」など、変更後の予定まで具体的に説明します。
気持ちを伝えにくい
嫌なことがあると泣く・叫ぶ・物を投げる
「嫌」「疲れた」「休みたい」といった気持ちをうまく言葉にできず、行動として表れている可能性があります。 短い言葉や絵カード、写真などを使い、本人が自分の気持ちや希望を伝えやすい方法を用意します。
切り替えが苦手
遊びやゲームをやめるときに激しく怒る
楽しんでいる活動から次の行動へ気持ちを切り替えることに負担を感じている場合があります。 「あと10分」「これが終わったらお風呂」など事前に知らせ、終了までの時間や次の予定を分かりやすく伝えます。
疲労・空腹
夕方や外出後に癇癪が増える
疲れや空腹などが重なり、普段なら対応できる刺激にも耐えにくくなっている可能性があります。 休憩や食事の時間を確保し、予定を詰め込みすぎないようにします。癇癪が起きやすい時間帯や状況を記録することも役立ちます。
強い混乱
声かけをしても泣き続け、落ち着けない
強い不安や刺激によって興奮・混乱し、情報を整理したり行動を切り替えたりしにくい状態になっていることがあります。 安全を確保したうえで刺激を減らし、「ここで休もう」「大丈夫」など短くシンプルな言葉で伝え、落ち着くまで見守ります。

ポイント: 発達障害の癇癪の原因や現れ方には個人差があります。同じ行動でも背景が異なることがあるため、「癇癪の直前に何があったか」「どのような対応で落ち着いたか」を記録しておくと、その子に合った対応を見つけやすくなります。

感覚過敏によるストレスや不快感

発達障害のある子どもの中には、音や光、におい、触感などを強く感じる「感覚過敏」がみられることがあります。
周囲には気にならない程度の話し声や照明、服のタグ、食べ物の食感などが、本人には強い刺激や苦痛として感じられる場合も少なくありません。

こうした刺激が続くと、本人も気づかないうちにストレスが積み重なります。
その場から離れたい気持ちをうまく伝えられないと、泣く、叫ぶ、物を投げるといった癇癪として表れることがあります。
行動だけを見るのではなく、その直前にどのような刺激があったのかを確認することが重要です。

自分の気持ちをうまく言葉で伝えられないもどかしさ

「嫌だ」「疲れた」「助けてほしい」と感じていても、その気持ちを適切な言葉にすることが難しい子どももいます。
自分自身が何に困っているのか整理できず、周囲へ説明できないまま不快感や焦りが大きくなるケースもあります。

何度伝えても理解してもらえない経験が重なると、泣いたり大声を出したりすることで気持ちを表現するようになることもあるでしょう。
言葉だけでのコミュニケーションが難しい場合は、絵や写真、気持ちを示すカードなどを使い、本人が意思表示しやすい方法を用意することが役立ちます。

急な予定変更や見通しの立たない状況に対する不安

発達障害のある子どもの中には、決まった手順や予定を好み、突然の変化への対応を苦手とする子どもがいます。
「公園へ行く予定だったのに雨で中止になった」「いつもと違う道で帰る」といった大人には小さく見える変化でも、大きな不安につながることがあります。

特に次に何をするのか分からない状態では、気持ちの準備ができず、混乱から癇癪につながる場合があります。
予定変更があるときはできるだけ早く伝え、変更後の予定まで具体的に示すことが大切です。

発達障害の癇癪とわがままを見分ける判断基準

子どもが泣いたり怒ったりすると、「癇癪なのか、単なるわがままなのか」と判断に迷うことがあります。
ただし、行動の見た目だけで明確に区別できるとは限りません。
本人が行動をコントロールできる状態なのか、何をきっかけに起きているのかなど、前後の状況を含めて考えることが必要です。

本人の意志でコントロールできる状態か?

判断するときに確認したいポイントの一つが、本人が自分の意思で行動を切り替えられる状態かどうかです。
要求を伝えるために泣いている場合は、状況が変化したり別の選択肢が提示されたりすると、比較的早く行動を切り替えられることがあります。

一方、強い不安や感覚刺激などによって混乱している場合は、「やめよう」と思っても感情を抑えられないことがあります。
この状態で「泣くのをやめなさい」と強く求めても、すぐには対応できません。
意図的な行動と決めつけず、本人が落ち着きを取り戻せる状態かを確認しましょう。

危険が迫っても途中でやめられないか?

興奮が非常に強くなると、周囲の状況を十分に認識できなくなることがあります。
物を投げ続ける、道路へ飛び出そうとする、自分の身体を壁や床にぶつけるなど、危険な状況でも行動を止められない場合は、強い混乱状態にある可能性があります。

このようなときは、その場で理由を問いただしたり説得を続けたりするより、安全確保を最優先します。
危険な物を遠ざけたり、安全な場所へ誘導したりして、本人が落ち着ける環境を整えましょう。
自傷や他害が繰り返される場合には、専門機関への相談も検討する必要があります。

理由や目的が明確に存在するのか?

「お菓子が欲しい」「ゲームを続けたい」など、行動の目的が比較的分かりやすい場合もあります。
しかし、癇癪は必ずしも本人が何かを手に入れるために意図的に起こしているとは限りません。
騒音や予定変更、疲労などが重なり、本人にも理由を説明できないまま感情が爆発するケースがあります。

そのため、「なぜ怒ったの?」と本人に尋ねるだけでは原因が分からないこともあります。
癇癪の直前に何が起きたのか、時間帯や場所、周囲の刺激、その日の体調などを記録すると、共通するきっかけを見つけやすくなります。

発達障害の癇癪が起きたときの正しい対処法

癇癪が起きている最中は、子ども自身も強い不安や混乱を抱えていることがあります。
大人が感情的に叱ったり、長い説明で納得させようとしたりすると、さらに刺激が増える可能性があります。
まず安全を守り、必要な情報だけを簡潔に伝えながら、落ち着きを取り戻せる環境をつくることが基本です。

安全な空間を確保して見守る

癇癪が起きたら、最初に子ども本人と周囲の人の安全を確認します。
投げる可能性がある硬い物や割れやすい物、刃物などは遠ざけましょう。
頭を床や壁にぶつける場合には、可能な範囲でクッションなどを使ってけがを防ぎます。

安全を確保できた後は、必要以上に叱ったり問いかけたりせず、落ち着くまで見守ることも大切です。
大人が大声を出すと刺激が増え、さらに興奮してしまうことがあります。
まずは危険を取り除き、落ち着きを取り戻せる時間を確保してください。

短い言葉でシンプルに声をかける

癇癪が激しくなっているときは、普段よりも言葉を理解したり情報を整理したりすることが難しくなります。
「どうしてこんなことをするの」「さっき説明したでしょう」と長く話しても、内容を十分に受け取れないことがあります。

声をかける必要がある場合は、「ここで待とう」「大丈夫」「落ち着いたら話そう」など、短く分かりやすい表現を使います。
また、同じ指示を何度も繰り返すことも刺激になり得るため、反応を急かさないことがポイントです。
詳しい話は落ち着いてから行いましょう。

クールダウンできる静かな場所へ移動させる

人が多い場所や騒がしい環境では、音や視線などの刺激によって興奮が続きやすくなります。
安全に移動できる状態であれば、静かな部屋や人の少ないスペースなど、刺激の少ない場所へ移動する方法があります。

家庭では、本人が安心できる「落ち着く場所」をあらかじめ決めておくのもよいでしょう。
ただし、罰として閉じ込める場所にするのではなく、「しんどくなったら休める場所」として使うことが重要です。
落ち着いた後は、自分で気持ちを整えられたことを認めてあげてください。

発達障害の癇癪を事前に防ぐための予防策

癇癪への対応では、起きてから落ち着かせるだけでなく、起こりやすい状況そのものを減らしていく視点も欠かせません。
子どもの行動を日頃から観察すると、「予定変更のとき」「疲れている夕方」など一定の傾向が見つかることがあります。
その特徴に合わせて家庭で取り入れられる予防策を紹介します。

発達障害の癇癪 記録シート

癇癪が起きた場面を記録して原因の傾向を探そう

発達障害のある子どもの癇癪は、音や光などの刺激、予定変更、疲労、空腹、気持ちの伝えにくさなどが重なって起こることがあります。癇癪の前後を記録しておくと、繰り返しやすい場面や本人が落ち着きやすい対応を整理しやすくなります。

1回だけで原因を決めつけず、何度か記録して「同じ時間帯に起こる」「予定変更のあとに多い」など、共通する傾向がないか確認してみましょう。

記録する項目 記入例 実際の記録
日時 8月21日 17:30ごろ 日時を記録
場所 スーパーの店内 自宅・学校・外出先など
直前に起きたこと 店内放送が流れたあと、予定していたお菓子売り場を通らずレジへ向かった 癇癪の直前の出来事を記録
本人の様子 耳をふさぐ、大声で泣く、その場に座り込む 泣く・叫ぶ・物を投げるなど
考えられる原因 大きな音への負担、予定変更への不安、疲労 音・光・予定変更・空腹など
そのときの対応 人の少ない場所へ移動し、短い言葉で声をかけた 実際に行った対応を記録
落ち着くまでの時間 約10分 おおよその時間を記録
落ち着いたきっかけ 静かな場所へ移動したあと徐々に落ち着いた 効果があったと思われる対応
次回試したいこと 混雑する時間を避け、出発前に買い物の予定を伝える 次回の予防策を記録

癇癪の前に確認しておきたいポイント

記録のポイント: 発達障害の癇癪には個人差があり、同じ行動でも原因が異なることがあります。記録は診断のためではなく、本人が困りやすい状況や落ち着きやすい対応を把握するための目安として活用しましょう。

一日のスケジュールを視覚化して共有する

次に何をするのか分からないことが不安につながる子どもには、一日の予定を見える形で伝える方法が役立ちます。
「朝ごはん→着替え→保育園・学校→帰宅→お風呂」など、予定を文字やイラスト、写真で示すと見通しを持ちやすくなります。

予定を変更するときも、口頭だけで突然伝えるのではなく、スケジュール上で変更箇所を示すと理解しやすくなる場合があります。
また、「あと10分で終わり」「これが終わったら帰る」と事前に伝え、気持ちを切り替える時間を確保することも有効です。

パニックになりやすい原因や刺激を減らす

癇癪が起きた場面を記録すると、本人が苦手とする刺激を見つけられることがあります。
「スーパーの店内放送が苦手」「空腹になる夕方に怒りやすい」「服の特定の素材を嫌がる」など、行動の前後を具体的に振り返ってみましょう。

原因が分かれば、混雑する時間帯を避ける、休憩時間を設ける、苦手な衣類を避けるなど環境を調整できます。
すべての刺激をなくす必要はありません。
本人が生活しやすくなる範囲で負担を減らし、少しずつ対応できる方法を探すことが大切です。

小さな頑張りや落ち着いた行動を褒める

癇癪を起こした場面だけに注目するのではなく、落ち着いて行動できた場面を積極的に認めることも重要です。
「嫌だったけど言葉で教えてくれたね」「自分で休憩できたね」など、できた行動を具体的に伝えると、本人も何がよかったのか理解しやすくなります。

結果だけでなく、途中の小さな頑張りにも目を向けましょう。
「今日は一度も怒らなかった」といった高い目標ではなく、気持ちを伝えられた、場所を移動できたなど、その子に合った行動を評価します。
成功体験を積み重ねることが、別の方法で気持ちを表現する練習につながります。

発達障害の癇癪に関するよくある質問

発達障害のある子どもの癇癪については、「いつまで続くのか」「病院へ相談した方がよいのか」など、対応以外にもさまざまな疑問が生じます。
癇癪の頻度や激しさ、続く時期には個人差があるため、年齢だけで判断することはできません
保護者から寄せられやすい疑問について解説します。

何歳ごろまで続くことが多いですか?

一般的な子どもの癇癪は乳幼児期に多くみられ、言葉や感情を調整する力が発達するにつれて落ち着いていく傾向があります。
ただし、「何歳になれば必ずなくなる」と決まっているものではありません

発達障害の特性が関係している場合も、成長とともに自分の気持ちを伝える方法やクールダウンする方法を身につけることで、頻度や激しさが変化する可能性があります。
年齢だけを見るのではなく、以前と比べてどのような変化があるか、日常生活でどの程度困っているかを確認することが大切です。

専門機関や病院に相談する目安は?

癇癪があるだけで発達障害と判断することはできません。
しかし、癇癪が非常に頻繁で日常生活に大きな影響が出ている、自分や他人を傷つける行動がある、園や学校でも対応が難しくなっている場合などは、専門家への相談を検討しましょう。

また、保護者が対応に疲れ切っている場合も相談してよいタイミングです。
小児科や発達を専門とする医療機関のほか、自治体の子育て相談窓口、児童発達支援センターなどに相談できます。
困りごとが深刻になるまで家庭だけで抱え込む必要はありません。

外出先でパニックを起こした場合はどうすればいい?

外出先で癇癪が起きた場合も、基本は安全の確保と刺激を減らすことです。
道路や階段、商品棚など危険につながる場所から離れ、可能であれば人通りの少ない場所や静かなスペースへ移動しましょう。

周囲の視線が気になることもありますが、その場で無理に泣き止ませようとすると、かえって興奮が強くなる場合があります。
お気に入りの小物やイヤーマフなど本人が落ち着きやすいものを準備したり、出かける前に予定を伝えたりすることも一つの方法です。

発達障害の癇癪に落ち着いて対応し親子の安心につなげよう!

発達障害のある子どもの癇癪には、感覚過敏やコミュニケーションの難しさ、予定変更への不安などが関係している場合があります。
行動だけを見るのではなく、その背景にある困りごとを理解することが大切です。

癇癪が起きたときは安全を確保し、刺激を減らして落ち着くまで見守りましょう。
日頃から予定を分かりやすく伝えたり、苦手な刺激を減らしたりする工夫も予防につながります。

癇癪が激しい場合や日常生活への影響が大きい場合は、医療機関や専門機関への相談も検討しましょう。

ご相談・お問合せ

まきこどもクリニックでは「発達支援」について多くの診療サービスを展開しております。

「癇癪が激しく対応方法が分からない」「子どもの発達や行動が気になる」といったお悩みを抱えている方は、ぜひ一度お問合せくださいませ。

この記事の監修ドクター
まきこどもクリニック 院長 篠原京子
まきこどもクリニック 院長 篠原 京子 医師

三重大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院で初期研修を修了。名古屋大学医学部附属病院小児科をはじめ、岡崎市民病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、りんくう総合医療センター、市立池田病院などで小児科・小児循環器診療に従事。現在は、まきこどもクリニック院長として、一般小児科診療に加え、アレルギー疾患や発達に関する相談・診療にも幅広く対応している。

診察では、お子さま一人ひとりの成長や発達段階に寄り添い、保護者の不安にも丁寧に耳を傾けることを大切にしている。また、大阪公立大学生活科学部人間福祉学科 非常勤講師として教育にも携わり、小児医療に関する知識の普及にも取り組んでいる。