5歳児健診は、病気の有無だけでなく、言葉・社会性・生活習慣などを就学前に確認する機会です。結果だけにとらわれず、家庭や園での困りごとを共有し、必要な支援につなげる場として活用することが大切になります。
この記事では、5歳児健診を受ける時期や当日の流れ、確認される項目について分かりやすく解説します。
※5歳児健診の実施内容や受診方法は、自治体によって異なります。
詳しくは、お住まいの地域の担当窓口へお問い合わせください。
5歳児健診の概要と実施される目的
5歳頃は、友達との関係やルールの理解が深まり、集団生活のなかで得意なことと苦手なことが見えやすくなる時期です。
5歳児健診では、身体の成長に加え、言葉、行動、生活習慣、保護者の悩みなどを幅広く確認します。
■就学前に心身の発達を確認するため
5歳児健診では、身長や体重、栄養状態、病気の有無だけでなく、言葉の理解、社会性、行動、生活習慣なども確認されます。
3歳児健診の時点では分かりにくかった特性が、園での集団生活を経験することで見えやすくなる場合もあるためです。
できる・できないだけで判断するのではなく、その子がどのような場面で力を発揮し、どこで困りやすいかを整理する機会と考えましょう。
■家庭や園での困りごとを相談するため
「家では着替えられるのに園では進まない」「大人数になると指示が入りにくい」など、子どもの様子は環境によって変わります。
反対に、園では落ち着いていても、帰宅後に強く疲れたり感情が崩れたりすることもあるでしょう。
5歳児健診は、家庭と園の両方で見られる姿を持ち寄り、保護者だけで抱えてきた悩みを専門職へ相談できる場でもあります。
■必要な支援や医療へ早期につなげるため
健診で気になる点が見つかっても、直ちに病名が決まるわけではありません。
保健師や心理職への相談、発達教室、園での環境調整、医療機関の受診、就学相談など、子どもの状態に応じた次の選択肢を考えていきます。
診断を待たなければ何も始められないわけではなく、日常の困りごとを減らす支援は診断前から検討できます。
早く気づく目的は子どもを分類することではなく、過ごしやすい環境を早めに整えることです。
5歳児健診を受ける時期と対象者
5歳児健診の対象年齢や実施月は、自治体の方式によって異なります。
誕生日を迎えた直後とは限らず、年度単位や生まれ月ごとに案内される場合もあるため、届いた通知と自治体の情報を確認しておきましょう。
■実施年度に満5歳になる子どもが主な対象
5歳児健診は、実施年度に満5歳になる子どもを主な対象とし、標準的には4歳6か月から5歳6か月の間に行われます。
ただし、就学に向けた準備期間を確保する目的があるため、自治体によっては5歳の誕生日より前に案内されることもあります。
年齢だけで自己判断せず、自治体が示す対象年度や生年月日を確かめてください。
■お住まいの自治体から個別に通知が届く時期
対象となる家庭には、自治体から案内文、問診票、受診日時などが郵送されるのが一般的です。
園を通じて書類が配布されたり、最初に問診票だけが届き、その回答に応じて後日の健診案内が送られたりする地域もあります。
5歳児健診は全国で同じ方法に統一されているわけではなく、集団方式、園への巡回方式、医療機関での個別方式、二段階方式などさまざまです。
通知が届いたら、対象者、提出期限、会場、予約の要否を早めに確認しましょう。
■万が一受け忘れてしまった場合の対処法
指定日を過ぎたことに気づいたら、案内に記載された母子保健担当窓口へ連絡してください。
別の日程への変更や、次回の集団健診への振り替え、個別相談などを案内してもらえる場合があります。
転居直後で通知が届いていないときや、住民票のある自治体とは異なる地域の園に通っている場合も同様です。
そのままにせず、受診できる方法が残っているかを早めに相談することが重要になります。
5歳児健診で確認される主な項目と質問内容
確認項目は自治体ごとに異なりますが、言葉や対人関係、運動、生活習慣、情緒、食事、睡眠などを多面的に見ます。
一つの課題だけで結論を出さず、家庭や園での様子と当日の状態を合わせて整理することが基本です。
■言葉の理解やコミュニケーションの力
名前や年齢を答えられるか、質問の内容を理解できるか、経験した出来事を順序立てて話せるかなどが確認されます。
しりとりや簡単なルールのある会話を通して、言葉の力だけでなく、相手の話を聞く力ややり取りの続き方を見ることもあるでしょう。
ただし、初めての場所で緊張して話せない子どももいます。
答えられなかった事実だけで判断せず、普段はどうか、質問が聞こえていたか、安心できる相手とは話せるかなどを含めて考えます。
■片足立ちやスキップなどの運動機能
片足で立つ、線に沿って歩く、跳ぶ、スキップするなどの動きを通して、姿勢の保ち方や体の使い方を確認する場合があります。
動作がうまくできないときも、緊張している、説明を十分に理解できていない、普段その動きをする機会が少ないなど、複数の理由が考えられます。
運動課題は合否を決める試験ではありません。
転びやすさ、疲れやすさ、手先の不器用さなど、日常で気になっている様子があれば一緒に伝えると、より具体的な相談につながります。
■衣服の着脱や手洗いなどの生活習慣
衣服の着脱、食事、排泄、手洗い、歯みがき、睡眠など、毎日の生活に関する質問も行われます。
すべてを一人で完璧にできるかではなく、どの程度の声かけや手伝いがあれば取り組めるかが大切な情報です。
また、偏食の強さ、食事にかかる時間、就寝時刻、朝の目覚め、動画やゲームとの付き合い方を確認する場合もあります。
生活習慣は子どもの努力だけで決まるものではないため、家庭の予定やきょうだいの状況も含め、無理のない改善方法を相談しましょう。
【5歳児健診で確認されることの例】
- 名前や年齢、質問への受け答え
- 友達や大人とのコミュニケーション
- 片足立ちやジャンプなどの運動機能
- 着替え、食事、排泄、手洗いなどの生活習慣
- 偏食、睡眠、かんしゃく、気持ちの切り替え
- 家庭や園で保護者が困っていること
5歳児健診の当日の流れと必要な持ち物
当日は、受付、問診、身体計測、医師の診察、専門職との相談などが行われます。
ただし、事前の質問紙を一次健診とする地域もあり、全員が同じ会場や手順で受けるとは限らないため、案内文の確認が欠かせません。
5歳児健診当日の一般的な流れ
受付・書類提出
問診・聞き取り
身体計測
医師の診察
個別相談・案内
※実際の流れや実施内容は自治体によって異なります。
■問診票や母子健康手帳などの持参書類
一般的な持ち物は、健診の案内、記入済みの問診票、母子健康手帳、筆記用具などです。
必要に応じて、健康保険の資格を確認できるもの、医療証、お薬手帳、眼鏡、補聴器、着替え、飲み物を求められる場合もあります。
園から渡された発達や生活の様子に関する書類があるときは、忘れずに持参しましょう。
持ち物は自治体によって違うため、一般的な情報よりも手元の案内を優先し、不明点は事前に問い合わせておくと安心です。
【持ち物チェックリスト】
- 健診の案内・受診票
- 記入済みの問診票
- 母子健康手帳
- 筆記用具
- 医療証や健康保険の資格を確認できるもの
- お薬手帳、眼鏡、補聴器など
- 着替え、飲み物、子どもが安心できる物
- 園から渡された生活や発達に関する書類
■受付から医師の診察・面談までの手順
会場では受付後に問診票を提出し、保健師などによる聞き取り、身長・体重の測定、医師の診察へ進む流れが一般的です。
途中で子どもとの会話や簡単な課題、遊びの様子の観察が行われることもあります。
集団健診では待ち時間や他の子どもとの関わり方も含め、普段とは異なる反応が出るかもしれません。
泣く、固まる、動き回るといった様子があっても、保護者が謝り続ける必要はなく、職員へ普段の対応方法を伝えることが大切です。
■保健師や専門員による個別相談の時間
問診や診察の結果、または保護者からの希望に応じて、保健師、心理職、栄養士、保育士などとの個別相談が設けられます。
相談内容は、発達だけでなく、偏食、睡眠、かんしゃく、友達関係、登園しぶり、子育ての負担などでも構いません。
その場で結論が出ない場合は、後日の専門相談や発達教室、医療機関、就学相談を案内されることがあります。
紹介を受けた際は、相談の目的、予約方法、相談日までの過ごし方を確認しておくと、次の行動が分かりやすくなるでしょう。
5歳児健診の問診票を記入する際のポイント
問診票は、子どもを評価するためだけの書類ではなく、短い健診時間のなかで日常の姿を専門職へ伝える資料です。
よく見せようと整えるより、困る場面、頻度、必要な手助けを具体的に記すことで、適切な支援につながりやすくなります。
■日頃の様子をありのまま具体的に書く
「落ち着きがない」とだけ書くより、「食事中に5分ほどで席を離れ、3回程度の声かけで戻る」のように、場面や頻度を添えると伝わりやすくなります。
「着替えができない」場合も、ボタンだけ難しいのか、順番が分からないのか、気持ちの切り替えに時間がかかるのかで必要な工夫は異なるでしょう。
できないことだけでなく、好きな遊び、集中できる活動、うまくいく声かけも書いておくと、その子の力を生かした支援を考えやすくなります。
問診票の書き方の例
抽象的な書き方:
「落ち着きがありません」
具体的な書き方:
「食事を始めて5分ほどで席を離れます。『あと3口食べたら終わり』と伝えると戻れることがあります」
■園での様子や先生からの指摘も書き留める
家庭では気にならなくても、園から「集団指示のあとに動き始めるまで時間がかかる」「自由遊びでは一人で過ごすことが多い」と伝えられている場合は記載してください。
反対に、家庭だけで強い困りごとが出ていることも重要な情報です。
場所による違いは、保護者と園のどちらかの見方が間違っていることを意味しません。
環境、人数、音、疲れ、見通しの有無などによって行動が変わる可能性を考える手がかりになります。
■気になることや不安な点はすべてメモしておく
健診会場では、子どもの対応に追われ、相談したかった内容を忘れてしまうことがあります。
「友達との距離が近い」「負けるとかんしゃくが長引く」「音を強く嫌がる」など、気になることは事前にメモしておきましょう。
いつから続いているか、どの場面で起こるか、家庭で試した対応、その結果まで整理できれば相談が進みやすくなります。
一見すると健診と関係がなさそうな保護者自身の疲れや、家庭で支援してくれる人が少ないという悩みも、遠慮せず伝えてください。
【事例】大阪府池田市でも2026年度から5歳児健診がスタート!
大阪府池田市では、2026年度から5歳児健診が開始されました。
3歳6か月児健診以降の成長を確認し、就学前に発達上の課題や生活上の困りごとを把握することで、子どもの特性に応じた支援へつなげることを目的としています。
池田市では、事前に提出された問診票などをもとに子どもの発達や家庭での様子を確認し、必要に応じて個別の健診や相談を案内する流れが設けられています。
健診では、身体の成長や健康状態を確認するほか、言葉、行動、集団生活、育児に関する悩みなどについて、医師や専門職へ相談できます。
一般に、健診後は結果や相談内容に応じて、発達相談や就学に向けた支援などが検討されます。具体的な案内は健診時にご確認ください。
5歳児健診は、健診当日の結果だけで判断するものではなく、家庭や園での様子を共有しながら、今後必要となる支援を考える機会です。
池田市の5歳児健診は2026年度に開始された取組であり、実施方法や対象者、健診後の支援体制は、年度ごとの実施状況を踏まえて変更される可能性があります。
実際に受診する際は、市から届く個別通知や最新の案内をご確認ください。
5歳児健診をスムーズに受けるための注意点
初めての会場や見慣れない職員を不安に感じる子どももいます。
事前に見通しを伝え、服装や移動時間を整えることで負担を減らせるでしょう。
うまく受けることより、安心して参加できる準備を優先してください。
■事前に子どもへ健診の内容を優しく伝える
「体の大きさを測るよ」「先生と少しお話しするよ」など、子どもが想像できる言葉で伝えておきます。
「ちゃんと答えないといけない」「できなかったら困る」と不安を高める説明は避けましょう。
写真や絵を使い、受付、身長測定、診察、帰宅という順番を示す方法も役立ちます。
注射を予定していない健診であれば、その点を明確に伝えると安心する子どももいるはずです。
苦手な対応がある場合は、受付時に職員へ共有してください。
■脱ぎ着しやすい上下に分かれた服装で行く
身体計測や医師の診察があるため、ワンピースやつなぎよりも、上下に分かれた脱ぎ着しやすい服装が適しています。
複雑なボタンやひもが多い衣服、締め付けの強い服は、着替えに時間がかかりやすいでしょう。
慣れない場所で着替えることが苦手な子どもには、普段から着ている安心できる服を選びます。
感覚の過敏さがあり、特定の素材や肌着しか着られない場合は無理に変更せず、必要に応じて職員へ事情を説明することが大切です。
■時間に余裕を持って会場へ向かう
慌てて移動すると、会場へ着く前に子どもも保護者も疲れてしまいます。
交通状況や駐車場、会場の入口を事前に確認し、受付時間より少し早めに到着できる予定を立てましょう。
ただし、早く着きすぎて待ち時間が長くなると負担が増える子どももいます。
案内された受付枠を守りながら、落ち着いて移動できる余裕を確保してください。
発熱や風邪症状がある場合は無理に参加せず、自治体へ連絡して日程変更を相談しましょう。
5歳児健診を正しく理解して子どもの成長を支えよう!
5歳児健診は、子どものできないことを探し、評価を決めるためだけの場ではありません。
身体の成長、言葉、運動、生活習慣、友達との関係、家庭や園での過ごし方を確認し、その子が安心して就学を迎えるために必要な準備を考える機会です。
健診で気になる点を指摘されると、保護者の方が「育て方が悪かったのではないか」と自分を責めてしまうことがあります。
しかし、子どもの困りごとは、本人の特性と周囲の環境が合いにくいときに表れやすいものです。
座る場所を変える、指示を短くする、予定を目で見える形にするなど、環境を整えることで過ごしやすくなる場合も少なくありません。
問診票には家庭での姿を具体的に記し、園から伝えられている内容や保護者自身の不安も共有しましょう。
健診後に相談先を案内された場合は、結果を怖がるのではなく、親子の毎日を少し楽にするための選択肢として受け止めることが大切です。
気になる様子が続いているときは、健診の日を待たず、かかりつけの小児科や発達相談を利用してください。
ご相談・お問合せ
まきこどもクリニックでは、「発達支援」について多くの診療サービスを展開しております。
「ことばやコミュニケーションの遅れが気になる」「集団生活になじめているか心配」「就学に向けて不安がある」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度お問合せくださいませ。
お子さま一人ひとりの発達状況や、家庭・園での困りごとを丁寧にお伺いし、必要に応じて検査や診察を行いながら、適切な支援をご提案いたします。
保護者の皆さまが安心して子育てに取り組めるよう、継続的なサポートにも努めています。
三重大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院で初期研修を修了。名古屋大学医学部附属病院小児科をはじめ、岡崎市民病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、りんくう総合医療センター、市立池田病院などで小児科・小児循環器診療に従事。現在は、まきこどもクリニック院長として、一般小児科診療に加え、アレルギー疾患や発達に関する相談・診療にも幅広く対応している。
診察では、お子さま一人ひとりの成長や発達段階に寄り添い、保護者の不安にも丁寧に耳を傾けることを大切にしている。また、大阪公立大学生活科学部人間福祉学科 非常勤講師として教育にも携わり、小児医療に関する知識の普及にも取り組んでいる。