
5歳の子供が、思い通りにならないと怒ったり泣いたりすることは珍しくありません。5歳頃は自立心が強くなる一方、感情をコントロールする力はまだ発達途中です。
この記事では、5歳児が思い通りにならないと怒る原因や適切な対応方法、発達障害について相談を考える目安を解説します。
5歳児が思い通りにならないと怒る原因とは?
5歳頃は自分の考えや希望がはっきりしてくる一方、気持ちを整理したり我慢したりする力はまだ十分ではありません。
ここでは、5歳児が思い通りにならないと怒る主な原因を紹介します。
5歳児が思い通りにならないと怒るときは、怒りの奥に「悔しい」「もっとやりたい」「自分で決めたい」といった気持ちが隠れていることがあります。よくある場面ごとに、考えられる気持ちと声かけの例をまとめました。
| 怒りやすい場面 | 考えられる子供の気持ち | 声かけ例 |
|---|---|---|
| 公園から帰りたくない | 「まだ遊びたい」「急に終わるのが嫌」 | 「まだ遊びたかったね。あと1回遊んだら帰ろう」 |
| ゲームや遊びで負けた | 「負けて悔しい」「勝ちたかった」 | 「負けて悔しかったね。また挑戦してみようか」 |
| 欲しい物を買ってもらえない | 「欲しかった」「どうして買えないのか納得できない」 | 「欲しかったんだね。でも今日は買わないよ」 |
| 予定が急に変わった | 「思っていたことと違う」「どうすればいいか分からない」 | 「急に予定が変わって嫌だったね。今日はこっちに行くよ」 |
| 自分でやろうとしたことを止められた | 「自分でやりたい」「自分で決めたかった」 | 「自分でやりたかったんだね。できるところまでやってみよう」 |
| 遊びや動画を途中で終わらされた | 「まだ続けたい」「終わる心の準備ができていない」 | 「もっと見たかったね。今日はここまでにして、続きはまた明日にしよう」 |
ポイント: 子供の気持ちに共感することは、要求をすべて受け入れることではありません。「遊びたかったね」と気持ちを受け止めながら、「でも今日は帰るよ」とルールを伝えることで、気持ちと行動を分けて伝えやすくなります。
■自分の感情を言葉でうまく表現できないため
5歳になると会話は上手になりますが、悔しさや悲しさ、不安など複雑な感情をうまく言葉にできないことがあります。
そのもどかしさから、泣いたり怒ったりして気持ちを表現する場合があります。
■感情や行動をコントロールする力が発達途中のため
5歳児はルールを理解できても、自分の欲求を常に抑えられるわけではありません。
「帰る時間だと分かっているけれど遊びたい」といった気持ちが勝ち、怒りとして表れることがあります。
■自分のこだわりや主張が強くなる時期だから
5歳頃は「自分で決めたい」「自分でやりたい」という自立心が強くなる時期です。
そのため、自分の予定や考えと違うことが起こると納得できず、強く反発することがあります。
5歳児が思い通りにならないと怒る時のNGな対応
子供が何度も怒ると、保護者も余裕を失ってしまうことがあります。
しかし、対応方法によっては怒りを強めてしまう場合もあります。ここでは、できるだけ避けたい対応を紹介します。
■感情的になって怒鳴り返してしまう
子供が大声で怒っているときに大人も怒鳴ると、さらに興奮しやすくなります。
危険な行動は止めながらも、できるだけ落ち着いた声で短く伝えることを意識しましょう。
■子供の気持ちを無視して一方的に否定する
「そんなことで怒らないの」と感情そのものを否定すると、子供は理解してもらえないと感じることがあります。
「まだ遊びたかったね」など、まず気持ちを受け止めてからルールを伝えるようにしましょう。
■泣きやませるためにすぐ折れて要求を飲む
怒るたびに要求を受け入れると、「泣けば希望が通る」と覚えてしまう可能性があります。
気持ちには寄り添いながら、一度決めたルールについてはできるだけ一貫した対応を心がけましょう。
5歳児が思い通りにならないと怒る時の効果的な対応方法
5歳児が強く怒っているときは、すぐに正しい行動を教えようとしても言葉が届きにくいものです。
まず気持ちを落ち着かせ、その後に一緒に振り返ることがポイントです。
■まずは子供の悔しい気持ちに共感する
「負けて悔しかったね」「もっと遊びたかったね」など、子供の感情を言葉にしてあげましょう。
気持ちを理解してもらえたと感じることで、少しずつ落ち着きやすくなります。
■落ち着くまで静かに見守る
怒りが強いときは何度も説明せず、安全を確保して見守ることも大切です。
ただし、人をたたく、物を投げるなど危険な行動については、「たたくのはだめ」と短くはっきり伝えるようにしましょう。
■気持ちが収まった後に解決策を一緒に考える
落ち着いた後に、「次はどうしたらよかったかな」と一緒に考えてみましょう。
「悔しいと言葉で伝える」など具体的な方法を教えることで、少しずつ感情を適切に表現できるようになります。
5歳児が思い通りにならないと怒るのを防ぐ普段の接し方
怒ってから対応するだけでなく、普段の接し方を工夫することで、かんしゃくを減らせる場合があります。
特に予定を伝えることや、気持ちを言葉にする練習が役立ちます。
■事前に行動の予定やルールを伝えておく
突然遊びを終わらされると、子供は気持ちを切り替えにくくなります。
「あと10分で帰るよ」など事前に知らせておくことで心の準備ができ、怒りを防ぎやすくなります。
■小さな成功体験を増やして自尊心を育てる
片付けができた、順番を守れたなど、小さな成功を具体的に認めてあげましょう。
「自分でできた」という経験が増えることで自信が育ち、失敗や思い通りにならない場面も受け入れやすくなります。
■自分の気持ちを言葉で伝える練習をする
「悔しい」「悲しい」「嫌だった」など、気持ちを言葉にする練習をしましょう。
子供がうまく言えない場合は、大人が代わりに気持ちを言葉にしてあげることも、感情表現を覚える助けになります。
5歳児が思い通りにならないと怒る時に発達障害を疑う目安
思い通りにならないと怒るだけで、発達障害と判断することはできません。
ただし、強いかんしゃくなどによって日常生活に大きな困りごとが続いている場合は、専門家へ相談することも検討しましょう。
5歳児が思い通りにならないと怒ることだけで、発達障害と判断することはできません。 一方で、次のような困りごとが続いている場合は、小児科や発達相談を行う専門機関へ相談することも検討してみましょう。
大切なポイント: このチェックリストは発達障害を診断するものではありません。 チェックした項目の数だけで発達障害の有無を判断することもできません。 気になる行動が続いている場合や、本人・家族の日常生活への負担が大きい場合に、専門家へ相談する際の目安としてご活用ください。
■意思疎通において大きな難しさがあるか
怒り方だけでなく、普段のコミュニケーションにも注目しましょう。
会話がかみ合いにくい、自分の希望を伝えることが極端に難しいなど、複数の場面で困りごとが続く場合は相談の目安になります。
■パニックを起こすと切り替えが非常に困難か
一度怒ると長時間落ち着けない状態が頻繁にあり、家庭や園での生活に影響している場合は注意が必要です。
本人や家族の負担が大きいと感じる場合には、専門機関へ相談してみましょう。
■特定の行動に対して強い執着があるか
決まった順番が少し変わるだけで強く混乱するなど、こだわりによって生活に支障が出ている場合も相談の目安になります。
ただし、一つの特徴だけで発達障害と判断することはできません。
5歳児が思い通りにならないと怒る場合によくある質問
5歳児のかんしゃくが続くと、「いつ落ち着くのか」「発達障害ではないか」と不安になることもあるでしょう。
ここでは、5歳児が思い通りにならないと怒る場合によくある疑問に回答します。
■いつ頃になれば落ち着きますか?
怒りが落ち着く時期には個人差があります。
成長とともに言葉や感情をコントロールする力が発達し、少しずつ言葉で気持ちを伝えたり、自分で切り替えたりできるようになります。
■発達障害の可能性を疑うべきですか?
怒りやかんしゃくだけで発達障害とは判断できません。
コミュニケーションや集団生活、こだわりなど複数の特徴によって本人や家族が困っている場合には、専門家へ相談するとよいでしょう。
■外出先でかんしゃくを起こしたらどうすればいいですか?
まず本人と周囲の安全を確保し、可能であれば静かな場所へ移動しましょう。
無理に説得せず、「落ち着いたら話そう」と伝えて待つことも大切です。外出前に予定やルールを確認しておくことも有効です。
5歳児は基本的に思い通りにならないと怒る時期!成長を温かく見守ろう
5歳頃は自分の考えがはっきりしてくる一方、感情をコントロールする力はまだ成長の途中です。
そのため、思い通りにならないと怒ったり泣いたりする姿が見られることは珍しくありません。
怒りそのものを否定するのではなく、「何が嫌だったのか」を受け止めながら、適切な伝え方を少しずつ教えていくことが大切です。
以前より言葉で伝えられるようになった、気持ちを切り替える時間が短くなったなど、小さな成長にも目を向けましょう。
一方で、強いかんしゃくやコミュニケーションの難しさによって本人や家族の日常生活に負担が続いている場合には、一人で抱え込まず専門家へ相談することをおすすめします。
ご相談・お問合せ
まきこどもクリニックでは「発達支援」について多くの診療サービスを展開しております。
「かんしゃくが強く対応に困っている」や「子供の発達やコミュニケーションが気になる」といったお悩みを抱えている方は、ぜひ一度お問合せくださいませ。
三重大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院で初期研修を修了。名古屋大学医学部附属病院小児科をはじめ、岡崎市民病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、りんくう総合医療センター、市立池田病院などで小児科・小児循環器診療に従事。現在は、まきこどもクリニック院長として、一般小児科診療に加え、アレルギー疾患や発達に関する相談・診療にも幅広く対応している。
診察では、お子さま一人ひとりの成長や発達段階に寄り添い、保護者の不安にも丁寧に耳を傾けることを大切にしている。また、大阪公立大学生活科学部人間福祉学科 非常勤講師として教育にも携わり、小児医療に関する知識の普及にも取り組んでいる。